第8回研鑽会 2015年6月13日

執筆環境による,筆跡の変化観察

執筆環境に伴う筆跡の変化を観察するため,様々な環境下での筆記実験を行いました。

まずは,京急川崎駅から港町駅までの1区間乗車し,あらかじめ用意した用紙に筆記する実験を行いました。その後,会議室のある川崎駅へ戻るためタクシーに乗車し,運転手さんの許可を得て,今度は車に乗った状態での筆記実験も行いました。その他,以下の執筆環境を設定し,実験を行いました。

  • 通常の状態・・・・・・実験者にゆだねる
  • 暗がり状態・・・・・・光の入らない部屋で,保安灯のみの光で書く
  • 下地が不安定な状態・・習字用下敷き(フエルト)を2枚重ねて書く
  • 立位状態・・・・・・・高さ1メートル程度の台に置き,立った状態で書く
  • 座位状態・・・・・・・実験者にゆだねる
  • 仰向け状態・・・・・・実験者にゆだねる
  • うつ伏せ状態・・・・・実験者にゆだねる
  • 飲酒状態・・・・・・・通常の文字が書けなくなった

実験の筆跡データは,提案者の齋藤保副会長に集約され,検証が行われました。その結果,最も変化の大きかった姿勢は「仰向け」状態であり,次いで「下地が不安定な状態」,「立位」の順となりました。

「仰向け」は病床などで執筆される「遺言書」を,「立位」では金融機関の窓口で執筆される「払戻請求書」などを連想させますが,「立位」について,齋藤副会長は,偏と旁の調和がとれているか,冠と脚では文字の傾きが他の文字と同調しているか,といった視点に思われる。と見解を発表されています。また,筆記環境を推定することは,文字の観察だけでは困難のように思われるため,書面の性質を元に執筆環境を推察していくことも必要であると締められました。今後,回数を重ねて検証する必要があることなどを,全会一致で確認しました。

参加者:天野瑞明,高崎仁良,田村真樹,齋藤健吾,他1名(敬称略)