第13回研鑽会 2016年6月11日

2024年3月19日

鑑定方法及び,鑑定技術の認定会議

会則第7条(3)に則り,田村真樹氏からの申請に対する認定会議を行いました。今回初となるため,申請書ひな形の適正性や,認定会議の流れを模索しながら進行しました。申請内容は以下の4点。

①鑑定を行う資料の表現について

執筆者が不明な筆跡資料を「鑑定資料」,執筆者が明確な筆跡資料を「対照資料」と表現する。
※瑞明会同人として提出。数十年前から行われており,既知の事実でもあるが,改めて資料区分の「鑑定方法」として申請を行った。

②資料番号の付与について

対照資料が複数存在する場合,鑑定資料の執筆時期に近いものから順に資料番号を付加する。これにより,いわゆる「鑑定結果に都合の良い資料選択」が行えないようになり,鑑定作業の客観性・透明性・公平性が担保される。この鑑定方法は,「執筆時期による資料番号付与表」として記述し,報告書へ掲載する。また,執筆日付を入力するだけで,鑑定資料との執筆時期の差を計算するツールを開発し「鑑定技術」としても申請した。
※田村氏は,2011年3月8日の鑑定から採用しており,判決文などでも一定の評価を得ている。

③共通文字数の集計について

鑑定資料に執筆されている文字を,漢字・平仮名・片仮名・算用数字・ラテン文字・記号の6文字種に区分して表を作成し,個々の文字の執筆回数を集計する。次に対照資料から集計表の同字を探し,同じ表にまとめて執筆回数を集計する。この表を基に,鑑定資料と対照資料に共通した,執筆回数の多い文字から順に鑑定作業を行う。これにより,「鑑定結果に都合の良い文字の選別」が行えないようになり,鑑定作業の客観性・透明性・公平性が担保される。この鑑定方法は,「共通漢字集計表」や「共通平仮名集計表」,「共通片仮名集計表」,「共通ラテン文字集計表」,「共通算用数字集計表」及び「共通記号集計表」として作成し,報告書へ掲載する。
※田村氏は,2007年7月23日の受件分から採用しており,判決文などでも一定の評価を得ている。

④文字列の観察方法について

固有名詞や文節などを,文字列として観察する際に,文字の大きさの比率や文字同士の間隔及び,文字列の偏向状況などの視認を容易にするため,「仮想枠線」を用いる鑑定方法。これにより,抽象的又は主観による表現を廃し,鑑定作業の客観性・透明性・公平性が担保される。また,第三者による検証も可能であるため,所見の相互理解が深まる。この鑑定方法は,仮想枠線の設置方法から,報告書へ明記することを条件とする。仮想枠線を用いた,文字の大きさの比率計算及び,仮想枠線のスーパーインポーズによる文字間隔や,文字列の偏向状況のビジュアル化は「鑑定技術」としても申請した。
※田村氏は,2012年より研究を進め,2013年12月20日の受件分から採用しており,判決文などでも一定の評価を得ている。
※現時点では,視認を容易にすることが主な目的であるため,今後,数学的な要素を取り入れていくことも研究している。

以上は全て認定されることとなりました。

鑑定遊好倶楽部

高崎仁良氏による,小判の製造方法や,偽造にまつわる彫金師のお話などを伺いました。
また,見学者の廣瀬氏を交え,古貨幣6枚を使用した真贋の見極めや,無作為に選択しても20分の1の確率で,6枚中3枚の真正小判を選択するという計算方法なども伺いました。

参加者:天野瑞明,田村真樹,高崎仁良,見学者1名(敬称略)

活動記録

Posted by 協会事務局