筆跡鑑定の解説と信頼できる筆跡鑑定人のご紹介

2022年9月5日

筆跡鑑定について

筆跡とは

筆跡とは,人が書いた文字の痕跡をいいます。「筆」の字源は竹などで作られた筆のような筆記具を手で持っている様子を表しており,文字の発生と同時期に筆記具も発生したと考えられています。「跡」の字源は「あしあと」ですが,人の「あしあと」だけでなく,すべての「あと」を意味します。(白川静「常用字解」より)
文字の発祥は,農作物の出来を占うために亀の甲羅や獣の骨等にその象徴となる形を掘ったことに由来しますが,そうして誕生した文字が人から人への伝達手段になり,文明の礎になりました。
少し大げさかもしれませんが,人類のみが地球上で「筆跡」を生み出していることになります。

筆跡鑑定とは

筆跡鑑定とは,ここに「A」と「B」の2つの書類があり,同じ住所や氏名等を含む文章が書かれていて,執筆者が同じであるかを調べたいとき,それぞれの筆跡に恒常的に表れている書き方の癖を見極めて比較観察し,執筆者が同一であるか否かの判断を行うことを「筆跡鑑定」と呼びます。
ただし,筆跡には「個人内変動」があり,又は「経年変化」を起こしている可能性もあるため,筆跡を単純比較しただけでは筆跡鑑定にはなりません。

筆跡鑑定における個人内変動

個人内変動とは,一人の人間が同じ文字を書いても,文字の形態や大きさなどが完全に一致することはなく,それは「人が書いた文字」である所以なのですが,これを筆跡鑑定では「個人内変動」と呼んでいます。人により個人内変動が大きい方や小さい方がおり,また,文字によっても異なりますが,そうしたことも含めて執筆者の個性と言えますので,筆跡鑑定では個人内変動の観察が重要になります。

筆跡鑑定における経年変化

経年変化とは,年齢を重ねたり,疾病や負傷などにより障害を負ったり,書き方を矯正したりすることにより,筆順や文字形態が変化することがありますが,これを筆跡鑑定では「経年変化」と呼んでいます。筆跡鑑定における認識として,幼少期から成人するまでの間に筆跡の個性が固まりますが,その間は書字能力の発達や新しい文字を覚える機会も多いので経年変化を起こす度合いが大きく,成人してから老齢になるまではあまり変化はせず,老齢から晩年までの間には書字能力が失われていくため,経年変化の度合いが大きくなると考えられています。

筆跡鑑定における常同性

常同性とは,人が文字を書くときには,認識している文字形態や筆順を発露させて筆記具を動かし具体的な文字の形を表現していきますが,書き方にはその人なりの固有のパターンがあり,それらの中に恒常的に表れる癖がついていて,筆跡鑑定ではこれを「常同性」と呼びます。常同性のほとんどは個人内変動や経年変化の影響を受けないため,筆跡鑑定を行う上で最重要の観察ポイントとされています。

その他の筆跡鑑定

筆跡鑑定にはこの他に,掛け軸や書等の古美術鑑定や犯罪心理学等に類する精神鑑定,性格を変えるために筆跡を変えるという自己暗示型のセミナーもあり,そうしたことに従事されている方も「筆跡鑑定」という単語を使っています。
日本筆跡鑑定協会では,比較筆跡鑑定を行う鑑定人が登録されています。

筆跡鑑定書の作成

筆跡鑑定は,筆跡から個人内変動や経年変化を抽出して常同性と区分し,執筆者の書き方のパターンを明確にします。そして,対象となる筆跡と比較観察して,執筆者が同一であるかを判断し,事実に基づいた内容のみで鑑定結果を導き出します。
筆跡鑑定書は裁判資料として裁判所へ提出されますが,筆跡鑑定書には誤りがないように細心の注意が必要とされ,主観的な記述や抽象的な表現を行うことができないため,解説文には図解を行いながら正しく,鑑定結果に至る根拠を提示していきます。

筆跡鑑定人のご紹介

日本筆跡鑑定協会では,裁判所から鑑定嘱託を受けた会員を「指定鑑定人」と呼称しています。裁判所からの鑑定嘱託は,高度な鑑定技術をもつ者であることに加えて,経験年数の多い鑑定所が選ばれることが多く,請け負う際には「良心に従って誠実に鑑定すること」を宣誓するため,中立公平な鑑定結果を導き出しています。また,マイナンバー(個人番号)の届出等も一部義務化されています。一般の方が依頼する際にも,身元を明らかにでき,筆跡鑑定の技能に長けており,公からの信用も得られている筆跡鑑定人から選ぶと良いでしょう。

当協会では,身元がしっかりとしていて,裁判所から鑑定嘱託を受けている,優秀で信頼のおける筆跡鑑定人等をご紹介しています。また,当協会では大判・小判の鑑定もたまわっており,そうした古貨幣の鑑定は判空馬氏が担当しております。(ただし慶長大判の墨書きには、筆跡を特定出来ないケースがある事をお含みおき下さい。)

筆跡鑑定人のご紹介の他,当協会では筆跡鑑定に関するさまざまなご質問にもお応えしています。「筆跡鑑定について,どこへ尋ねればいいのかわからない…」というご質問や,「鑑定人に尋ねる前に予備知識を持っておきたい」,「平均的な料金を知りたい」など,鑑定人のご紹介実践的な事までご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

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    筆跡鑑定人を目指す方へ

    当協会では,筆跡鑑定人になるための講座や通信教育は行っておりませんが,筆跡鑑定人を志望される方には現役の筆跡鑑定人をご紹介しています。実際に筆跡鑑定を行っている筆跡鑑定人に話を聞いたり,筆跡鑑定の方法や取り組み方等のレクチャーを受けたりすることは,机上学習では知りえない「筆跡鑑定人の現実」を見る機会になると思います。
    筆跡鑑定人を目指す方はお気軽に当協会へお問い合わせください。

    日本筆跡鑑定協会の活動内容

    災害復興支援ボランティア

    当協会では「筆跡鑑定人ができること」を念頭に置き,東日本大震災の直後から被災者や罹災者の方に「復興支援ボランティア」として筆跡鑑定を無料で行い,鑑定結果をご提供する取り組みを行っています。

    • (第1期)平成23年6月11日(土曜日)~平成24年3月31日(土曜日)
    • (第2期)平成24年4月1日(日曜日)~平成25年3月31日(日曜日)
    • (第3期)平成25年4月1日(月曜日)~平成26年3月31日(月曜日)
    • (第4期)平成26年4月1日(火曜日)~平成27年3月31日(火曜日)
    • (第5期)平成27年4月1日(水曜日)~平成28年3月31日(木曜日)
    • (第6期)平成28年4月1日(金曜日)~平成29年3月31日(金曜日)
    • (第7期)平成29年4月1日(土曜日)~平成30年3月31日(土曜日)
    • (第8期)平成30年4月1日(日曜日)~平成31年3月31日(日曜日)
    • (第9期)平成31年4月1日(月曜日)~令和2年3月31日(火曜日)
    • (第10期)令和2年4月1日(水曜日)~令和3年3月31日(水曜日)(予定)

    このほか,近年頻発している激甚災害指定された地域にお住まいの方への復興支援策として,筆跡や印章及び,指紋等にまつわるお困りごとのご相談も無料にて受け付けており,被災・罹災証明書などと,ご本人様と確認できる書類がございましたら「復興支援ボランティア」が適用されるケースもございますのでご相談ください。

    ⇒ 復興支援ボランティアを詳しく見る

    筆跡鑑定の方法及び,筆跡鑑定の技術等認定会議

    筆跡鑑定は,人が書いた文字と文字を見比べて,執筆者が同じか否かを判断することですが,鑑定方法や鑑定技術は鑑定人の力量に左右されることがあるため,日々の研鑽と努力が必要になります。当協会では,会員登録のある鑑定人が自身の鑑定方法や鑑定技術を発表し,それを他の鑑定人が正しい鑑定方法であるのか,または,有効な鑑定技術であるのかを見極めて認定する会議があります。この会議で認定された方法は,他の鑑定人が使用することもできるため,技術研鑽の場となり,筆跡鑑定の精度向上にも役立てています。

    このほか,筆跡鑑定や指紋鑑定,印章鑑定などについて専門家主導で実証実験を行い新しい見識を得たり,講演会を開催して鑑定技術へ取り入れたりするなどの研鑽会を,不定期ながら開催しています。

    ⇒ 研鑽会内容を詳しく見る

    日本筆跡鑑定協会のあり方

    日本筆跡鑑定協会は,NPO法人ではありませんが非営利で活動しています。運営は協会員からの寄付等で行っていますが,必要最低限の組織運営であるため多額の資金は必要ありません。筆跡鑑定に必要なのは勤勉さであり,そうした鑑定人が集う協会に派手な宣伝広告は必要ないと考えるからです。当協会には,鑑定が必要な方に適正な鑑定結果をお伝えすることを使命としている鑑定人のみが在籍しています。

    筆跡鑑定人の職責

    • 筆跡鑑定は中立公正であること。
    • 非弁行為を行わないこと。
    • 鑑定料金以外の報酬を受け取らないこと。
    • 反社会的勢力からの依頼を受けないこと。
    • 依頼人や代理人を誘導しないこと。

    会員募集

    日本筆跡鑑定協会では,筆跡鑑定人を始め,印章鑑定や指紋鑑定など様々な分野の鑑定に取り組んでおられる方のご応募を受け付けています。応募資格は以下の通りです。

    1. 現在,鑑定人として開業されている方。もしくは個人研究で取り組まれている方。
    2. 研鑽会などに参加が可能な方。
    3. 反社会的勢力の関係者ではない方。

    入会審査には試験と面接があります。詳しくは協会事務局までお問い合わせください。

    Posted by 協会事務局